羅臼町における飼い犬襲撃ヒグマによる被害の概要について
2021年7月2日
6月27日21時頃に海岸町で飼い犬3頭を死傷させたヒグマ対策について、現在も箱罠の設置や関係組織と連携し捕獲体制を敷いているところです。このヒグマはDNA鑑定の結果から過去にも飼い犬を死亡させている個体であることが判明しましたので、過去の出没履歴、被害状況等についてお知らせいたします。
町民の皆様には、ヒグマの誘引物の徹底管理と人の生活圏に侵入するヒグマの目撃情報をお寄せいただき、ヒグマ出没時には追い払いを行うとともに、問題グマに対しては捕獲対策を講じてきたところです。しかしながら、この度飼い犬を襲撃したヒグマについては、ここ数年間にわたり捕獲体制を継続している状況にありますが、注意深い性格を有し、現在まで捕獲に至らずにいます。
被害の拡大や想定外の事故へと発展させないためにも、今後も引き続き町民の皆さんのご協力をお願いいたします。
DNA鑑定の結果
平成30年(2018年)、令和元年(2019年)に飼い犬を襲撃したヒグマは、同一個体であることが既に判明しているところでありますが、本年6月27日被害をもたらしたヒグマについても、現場から採取した唾液サンプルから、同一の個体であることが判明しました。(6月29日)
特 徴
目撃事例が非常に少なく、限られた情報しかないのが実態ですが町民の皆様も共有をお願いします。
・毛色:黒色(通常は金毛などが混じることが多いが、加害個体は全身ほぼ黒色)
・鼻口部:通常より少し長く感じられる
・年齢・体重:年齢8歳以上、体重150㎏以上の雄成獣
・事件発生現場の共通事項
:多くが河川の周辺部で発生
:侵入経路としてフキやイタドリなどが繁茂し、身を潜められる場所から進入
:襲われた犬は、騒がない場合もある(怯えてしまう可能性がある)
:犬は鎖につながれていて、捕獲しやすいと学習している可能性が高い
・行動域:5~9月に羅臼町全域(海岸町、春日町、峯浜町で被害が発生しているほか、斜里町ウトロ側での出没も確認されている)
【過去からの事件の発生日と概要】
発生年 | 発生日時 | 場所 | 被害状況 | 対応 |
平成30年 |
8月1日 |
海岸町 |
飼い犬 |
8月1日に被害現場に捕獲檻を設置。 |
令和元年 |
7月10日 |
海岸町 |
飼い犬 |
7月12日に被害現場に捕獲檻を設置。 |
令和元年 |
7月26日 |
峯浜町 |
飼い犬 |
7月27日に被害現場に捕獲檻を設置。 |
令和元年 (2019年) |
8月3日 |
春日町 |
飼い犬 |
8月4日に被害現場に捕獲檻を設置。 |
令和2年 (2020年) |
被害発生無し | - | - |
町内各地における自動撮影カメラの設置、DNA採取とその解析など、当該個体が確認された場合に備えて様々な対策を講じていたが、当該個体の羅臼町内での確認はなかった。 |
令和3年 |
6月27日 |
海岸町 |
飼い犬 |
被害現場周辺に捕獲檻を設置。 |
住民のみなさまへのお願い
当該個体の糞や体毛サンプルから過去にたどったルートの解析もされてもおり、短期間で長距離を移動することがわかっています。
想定される移動ルート周辺に箱罠を設置していますが、これまでの状況からも箱罠による捕獲は難しい個体であるとの認識にたっています。
羅臼町としては、知床財団、警察との連携体制を引き続き継続し、捕獲体制と専門知見から、地元猟友会とも連携を図っており、問題グマの捕獲に万全の体制を敷いていますが、町民のみなさまからの情報提供が重要な手掛かりとなります。
役場では24時間体制で通報受付にあたっておりますので、ヒグマを目撃した場合は、近寄らず速やかに通報をお願いします。
また、犬の被害の拡大を防止するために、被害地から離れていても、油断せずに飼い犬の徹底した管理(屋内での飼育など)をお願いします。